薬剤師の就職先

薬剤師と二分化

薬剤師という職業は医療に従事する様々な職業のなかでも、在宅医療によって治療を行う人に対して薬を処方する、非常に重要な職業です。 薬剤師のみならず医療従事者の労働環境が悪化してしまうと、その職業に従事する人が減ってしまい、正常な医療サービスの提供が困難になります。

基本的に日本は新自由主義、つまり政府が経済に介入するのは最小限にするという思想の元で作られてきた国家になっていますが、こうした国民の生活レベルに直結する部分に関しては政府の介入により、 環境の悪化を防ぐような取り組みが実施されるようになっています。ですが昨今ではさまざまな環境の変化により、医療サービスという保護対象のなかでも、様々な改革が行われています。 その改革の中でも、特に薬剤師という職業に対して影響が大きかったのが「診療報酬改定」です。

この診療報酬改定は今後の少子高齢化社会において医療財政を確保し、改善していくという目的で施行された政策です。 診療報酬改定の中には「処方箋一枚あたりに対する技術料を引き下げる」という文言が含まれます。この「処方箋に対する技術料」とは、医師が発行した処方箋に従って医薬品を調剤した際に薬局側が受け取る報酬のことですが、 これが切り下げられるということは、薬局の収入源に直結します。年間ベースで計算すると1000万円以上の収入源が発生するとも見込まれており、収入源が発生した薬局においては様々な方法で経営効率化が図れることとなるでしょう。 そうした経営効率化の結果として生み出されると予測されるのが「薬剤師の二分化」です。

基本的に経営効率化において最も効果的となるのが店舗などのランニングコストの削減です。中でも特に削減されやすいのが「人件費」であり、かつて日本が深刻な不況に襲われた際にも、 企業にとって不要と判断された社員がリストラの憂き目に遭うなどの状況が発生しました。そしてこれは薬剤師という職業においても変わりません。 能力が高い薬剤師であれば調剤業務を行うことでこれまでと換わらない賃金を維持できますが、能力が劣る薬剤師は袋詰めや事務作業といったような補助的な役割に回され、低賃金での労働を強いられる恐れがあるのです。

診療報酬の改定自体は医療財政の改善という面において必要性が高いものですが、その結果として発生する薬剤師の二分化は、薬剤師として従事する人の減少や、 将来的に薬剤師になろうとする人の現象などを引き起こすと心配されています。日本は今後の医療に対応するために様々な問題に対応せねばならず、薬剤師の二分化も同様、対応をしなくてはならないといえるでしょう。